築古(古い戸建の家)を売却するためのコツと注意点

築古(古い戸建の家)を売却するためのコツと注意点

日本全国で深刻化している空き家問題ですが、多くの自治体が空き家条例を発布するまでになり、2015年にはついに国政が本腰を入れて問題解決に乗り出してきました。

それが「空き家対策特別措置法」です。この法改正により、空き家状態のまま放置しておくことが難しくなり、築40年や築50年という築古住宅の売買が急増することになりました。

その対策の一環として、政府もテレビや雑誌などの各メディアを使い、DIYやリノベーションなどを流行させようとしています。
DIYやリノベーションブームによって、築古住宅への注目も多少は増えてきましたが、それでも需要に比べ、圧倒的に供給側が上回っているため、「売りたくても買い手がみつからない」という負のスパイラルに陥ることは目に見えてます。

そこで今回は、築古住宅(古い家)の売却方法について考えてみたいと思います。

売る家を把握しておこう

築20年や築30年の住宅は、まだまだ築古住宅とは言いません。今回問題として考えているのは、築40年や築50年を過ぎてる築古住宅や古民家です。

このような築古住宅の多くは、相続などによって手にした不動産であり、実際に売主本人が購入した住宅ではないことが多いです。
しかし、不動産の売却をするなら、当時どれくらいの価格で購入したのかというお金の問題はもちろん、築年数や家の構造、さらにはその家が建っている土地のことまでしっかりと把握しておく必要があります。

つまり、これから売却しようと考えている家のことを、まず自分たちが理解するところから始めなければならないということです。

家の築年数を確認

築古住宅の場合、築35年も築40年も大差はないと考えてしまいますが、それは大きな間違いです。

2017年を基準にして考えると、築35年は1982年、築40年だと1977年に建てられていることになります。わずか5年の差ですが、この間には大きな差があります。

それは、1981年にあった「耐震基準」の改正です。1981年よりも以前に建てられているか、それとも1981年以降に建てられているかによって、物件の見方が大きく変わります。これは戸建て住宅だけでなく、分譲マンションも同じです。

耐震基準というのは、建築基準法で定められた地震等に対する建物の強度のようなものです。この耐震基準はこれまでに何度も改定されてきましたが、一番大きな改定となったのが1981年です。

よく耳にする「新耐震基準」というのは、1981年以降に建てられている建物のことで、1981年以前に建てられている住宅やマンションは「旧耐震基準」となります。

この「旧耐震基準」と、「新耐震基準」の違いを、簡単に比較してみます。

旧耐震基準 新耐震基準
震度5程度の中規模地震 倒壊しない住宅 ほとんど損傷しない住宅
震度6や7の大規模地震 基準が何も決まってなかった 倒壊・崩壊しない住宅

このように旧耐震基準では、東日本大震災や熊本大地震のような大規模地震は想定されてなかったことがわかります。

国土交通省の発表によれば、熊本地震でもっとも震度が大きかった益城町中心部だと、以下のような調査データもあります。

  • 旧耐震基準の建物702棟のうち225棟が倒壊  倒壊率32.1%
  • 新耐震基準の建物1,042棟のうち80棟が倒壊 倒壊率7.6%

旧耐震基準と新耐震基準による被害の差は明らかです。

2000年基準でさらに強固な家に

耐震基準の話しをしたので、1981年以降の新耐震基準の改変期となった「2000年基準」についても少し解説します。

この改正により、戸建て住宅はさらに耐震に対する基準が高く設定されることになりました。

地盤の強度に合わせて基礎を強化したり、耐震強度をあげるため壁の配置や、補強金物の使用などが法律によって義務化されました。

1981年以前の旧耐震基準の家を、この2000年基準にあわせて耐震補強するには、約100万円~150万円ほどの費用がかかると言われています。

かなり高額な費用がかかりますが、今は各自治体が耐震補強のリフォームに対して、補助金や助成金を出してくれていますので、該当する住宅の場合は自治体に問い合わせてみましょう。

構造と耐用年数

戸建住宅といっても、木造もあれば軽量鉄骨造の家もあります。最近では、非木造の家を建てる人も増えてきましたが、それでも住宅総数の割合でいくと、木造住宅が全体の80%を軽く超えています。

これほどのシェアを誇る木造住宅ですが、よく「木造住宅は築20年で価値が0円になる」という言葉を耳にします。仮にそれが本当だとしたら、築20年以上の木造住宅だと、土地の価値しかないことになります。

実際のところ、「築20年で価値が0円になる」ということはありません。この話しの元となっているのは、住宅の固定資産税を算出する基準となる「法定耐用年数」が関係しています。

構造別の法定耐用年数
木造モルタル造 20年
木造パネル構造 22年
鉄骨造
(鉄骨材3mm以下)
19年
鉄骨造
(鉄骨材3~4mm)
27年
鉄骨造
(鉄骨材4mm以上)
34年
鉄筋コンクリート
(RC造)
47年

このように法定耐用年数では、木造住宅は20年で減価償却するとされており、これが建物の価値が0円になるといわれる原因となっています。

なぜ築年数が経過してる家は評価されにくいのか?

築20年を過ぎた場合、戸建て住宅の価値がなくなるということはありませんが、実際問題として売却時の査定に反映されづらいのは事実です。

なぜ築年数が古い家は売却査定時に評価されづらいのかというと、その理由の1つとして住宅ローンの問題が考えられます。

住宅ローンの融資額を決める際、基準の1つになっているのが土地や建物の「担保価値」です。

担保価値の基準のひとつが「評価額」であり、限りなく評価額が0円に近い建物に対して、売却査定を300万円も500万円もつけていたのでは、担保割れしてしまいます。

その結果、購入希望者は住宅ローンを満額融資受けることが難しくなり、それにより中古住宅が売却できない要因となっているわけです。

このように築年数が古い家の場合、建物の売却査定は担保割れしないように、あまり高く評価することはしないため、あまり建物に対しての価値にはこだわりすぎないことが良いかと思います。

立地などの周辺環境

資産価値や建築基準法といわれても、売主には少し難しい部分もあるかと思います。立地や周辺環境については、やはりその家で実際に暮らしている人のほうが断然詳しいはずです。

ここが最大のアピールポイントとなります。「地盤がしっかりしてる地域」、「小学校までの通学路に踏み切りや大通りが少なく安全」など、実際に住んでいる人だからこそわかることが多数あるはずです。

実際に住んでいたからこそ知ってる周辺環境について、購入希望者はとても知りたいはずです。しかし築古住宅の場合、売主と買主がはじめて対面する席が売買契約当日ということも珍しくありません。

ですので、あらかじめ立地や周辺環境のアピールポイントを自分なりにまとめておき、それを仲介してくれる不動産会社に託しておくといいでしょう。その情報は大きな営業ツールとなるので、託された不動産会社も有効活用してくれるはずです。

難しく考える必要はなく、自分たちが買主側だったらどんな情報を知りたいかを考えれば、アピールするポイントは見えてくると思います。

売却してしまう前に、自分が育った家がどんな地域なのか、今暮らしている家がどんな周辺環境なのかを再度考えてみましょう。

再建築不可物件かどうか

立地に共通する部分かもしれませんが、古築住宅の場合「建築基準法の改定による再建築不可」という問題もあります。

つまり、いま建っている家を壊してしまったら、次に新しい家を建てることができない地域や土地があるということです。これは古築住宅の売却にとって、とても大きなマイナス要因となってしまいます。

築40年や築50年の家だと、当時と今では建築に関するルールが全然違います。50年前に問題なく家を建てることができた土地でも、今の建築基準法では新たに家を建てれない土地というのが多数存在しています。

代表的なものでいえば、道路の問題があります。今の建築基準では、土地が4m幅の道路に最低でも2m以上接してなければ建築許可がおりませんが、50年前はそんなルールはありませんでした。

道路に接してない土地もたくさんあります。このような土地の場合、既存で建ってる建物は問題ないとしても、新たに建物を建て替えることはできません。

自分の土地の一部を道路として提供する「セットバック」などの救済策もあるのですが、そうなると土地の面積はそれだけ小さくなってしまいます。似たようなもので「がけ条例」や「用途地域による建築制限」などもありますので、家が建っている地域の情報を再度確認しておきましょう。

当時の購入費用を調べる

築30年を過ぎてくると、その家の購入価格などがわかないというケースもあります。これから売却する家だから、購入価格がわからなくても問題ないと思っている人も多いですが、それは間違いです。

買ったときの価格がいくらかわからないということは、売却したときの利益が不明確になってしまいます。購入したときの価格がわからないと、多額の税金を支払うことになる可能性があるので、なんとかして買ったときの金額を調べましょう。

不動産の売却に伴う税金というのは、単純に以下のようになります。

  • 買った金額より、売った金額が高い場合は、その利益分の税金を払う
  • 買った金額より、売った金額が低い場合は、その損益分の税金が戻ってくる

どうしても買った金額がわからなければ、購入代金は売却代金の5%として計上する決まりです。つまり、それだけ多くの利益を得たことになり、税額も比例して多くなります。
当時の建築請負契約書、住宅ローンの計算書など、何でもいいので、とにかく購入した金額がわかるようなものを探しておきましょう。

税の控除や特例措置もある

先祖代々100年以上受け継いでる土地であったり、どうしても買ったときの金額がわからないこともあるでしょう。だからといって、必ず高額な税金を支払うことになるとは限りません。

不動産売買には、多くの控除や特例措置制度があります。これらの制度を利用することで、不動産売却による譲渡税の支払いの多くが免除されます。特に居住用の戸建て住宅には、そういった特例措置や控除が多くあります。

それよりも、買ったときの価格がわかることで、税金の還付を受けられる可能性のほうがずっと高いので、そういった意味でも買ったときの金額は出来る限り調べておくことをおすすめします。

古い家は解体すべき?

築古住宅の売却で頭を悩ませることといえば、建物を残した状態のまま売却するのか、それとも解体して、更地にして売却するほうが良いのかという問題です。どちらにしても一長一短があり、どうするのが正解というものはありません。

ここでは建物を残したまま売却する場合、建物を解体して更地の状態で売却する場合、それぞれのメリット・デメリットを紹介しますので、自分たちにとってどちらが良い選択肢なのかを決める参考にしてもらえたらと思います。

解体せずに家を売るメリット

解体せずに家を売却するメリットには以下のようなことがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 中古住宅と土地だけを探してる両方の顧客を取り込める
  • 建物価格を多少なりと売却額に反映できる
  • 解体費用などの出費を抑えることができる
  • 固定資産税の軽減措置を受けることができるので売り急がなくて良い
  • 買主の住宅ローン融資に良い影響がでる
  • 再建築不可の土地は建物を壊すと売れない可能性が高い

中古住宅と土地だけを探してる両方の顧客を取り込める

建物を残したまま売却すると「中古住宅」になります。この場合、中古住宅を探してる客層はもちろん、新築するための土地を探してる客層も取り込めるのがメリットです。

土地だけを探してる客層でも、古築住宅などは候補として探してくれる不動産会社やハウスメーカーが多いので、中古住宅と土地希望どちらの客層も取り込むことが期待できます。

建物価格を多少なりと売却額に反映できる

建物を解体してしまうと、完全に土地に対しての評価しかされません。もちろん売却査定も販売価格も土地のみという評価になってしまいます。

しかし、例え築30年や築40年の古築建物でも、多少なりと建物に対して査定をつけてくれる業者もあります。

数百万円という評価は期待できませんが、確実に0円という評価を受ける土地のみより、高値の査定がつく可能性があるので、築古物件を売却する際は、複数の不動産業者に査定を依頼することをおすすめします。

解体費用などの出費を抑えることができる

建物を残した状態のままで買い手がみつかれば、当然建物を解体する費用を浮かせることができます。

また仮に土地のみの購入希望者であっても、解体費用を交渉することで折半にしたり、幾分かの費用負担をお願いすることもできます。

解体費用は、安価な木造でも100万円ほど掛かる場合が多く、全額でなくても費用を負担してもらうことができれば、出費を抑えることができます。

固定資産税の軽減措置を受けることができるので売り急がなくて良い

築40年や築50年という古家でも、建物が建っていれば固定資産税の優遇措置を受けることができ、最大で通常の6分の1まで減税されます。

実際、土地と建物あわせて年間10万円ほどの固定資産税だったものが、建物を解体して優遇措置の対象から外れてしまった場合、年間で30万~40万円ほどの固定資産税の請求がきてもおかしくありません。

また、建物を取り壊してしまうと、来年度から固定資産税が大幅に増えることもあり、早く売却しなければという思いが強くなり、結果、強引な値引き交渉にも応じなければならなくなり、大幅に損をしてしまう可能性もあります。

買主の住宅ローン融資に良い影響がでる

これは買主側の話しなのですが、いくら新築住宅を建てるための土地とはいえ、建物がない土地を買うのに住宅ローンは使えません。

そうなると、「つなぎ融資」で対応しなければならなくなり、手続きも面倒になりますし、住宅ローン審査においても担保評価が低くなる可能性が考えられます。結果、いくらその土地を欲しいという人がみつかっても、住宅ローンが借りられずに見送られてしまうことがあります。

再建築不可の土地は建物を壊すと売れない可能性が高い

よく調査せず、更地にしたほうが売れやすいだろうという安易な考えで、早々と建物を取り壊す売主がいますが、古築住宅の場合は昔の建築基準法で建てられている家が多く、現在の建築基準法では新たに建物を建築することができない土地というのが多数存在しています。

それを知らずに建物を取り壊してしまうと、当然その土地に家を建てることはできなくなるため、その土地の価値が大幅に減少してしまいます。

建物が残っていれば講じれる手段はいくらでもあります。少し厳しい言い方になりますが、建物が建っていてこそ土地としての価値が評価されていることも理解しておきましょう。

解体ぜずに家を売るデメリット

ここまで解体した場合のメリットとなる部分を解説してきましたが、以下のようなデメリットもあります。

  • 瑕疵担保責任の問題
  • 土地を探している顧客から除外される可能性が高い
  • 建物の劣化状況で購入を見送られる可能性が高い

瑕疵担保責任の問題

建物が残ってる状態で売却した場合、当然「中古住宅の売買」ということになります。そうなると売主には「瑕疵担保責任」が発生します。

この瑕疵担保責任というのは、売却後にもし気付いてなかった不具合がみつかった場合、一定期間内においては売主が補修や交換の責任を負いますという制度です。

つまり、売却後に雨漏りがしてる箇所がみつかったり、シロアリの被害がある箇所がみつかった場合、保証期間内であればその修繕義務は買主でなく、あなた(売り主)にあります。

築30年、築40年、築50年と建物が古くなれば、当然それだけ劣化や損傷してる箇所も増えてきますし、それに気付かずに売却してしまうこともあるでしょう。

建物を残した状態のまま売却するということは、このような瑕疵担保責任のリスクを一定期間負うことになり、売主としては売却後でも気が休まらなくなります。

土地を探している顧客から除外される可能性が高い

「中古住宅」となれば、土地だけを探してる人に除外されてしまう可能性があります。インターネットの不動産ポータルサイトでは、自分の条件を選び、それに該当する物件だけを表示することができます。

購入希望者が「売地」にチェックをいれて検索すれば、その時点で中古住宅はその購入希望者の目にとまることすらなくなります。

ただし、気が利いてる不動産業者であれば、築古住宅の場合だと、「中古住宅」と「売地」の両方のカテゴリーに登録してくれるので、購入希望者を逃すことはありません。依頼している仲介業者と売却方針を共有して、どのように売り出していくかしっかりと決めておきましょう。

建物の劣化状況で購入を見送られる可能性が高い

築40年や築50年ということがわかっていたとしても、実際に見ると思っていた感じと違っていたり、想像していた以上に老朽化が深刻化していたというケースも多いです。そうなると購入希望者のモチベーションはガタ落ちします。

物件情報でどれだけ魅力的に書けていても、実際の建物をみて購入を見送る人は大勢います。このようなことが何度も続くと、売主の多くが「やはり建物は解体し、更地の状態で売りに出したほうが良いのかも」と思うようになります。

いつまでに売り切りたいか、いくらで売りたいかをもう一度考え直し、仲介業者と相談しながら最善の選択をしていきましょう。

家を解体して土地だけ売るメリット

売却を考えているが、とても売れるような物件ではないと判断した場合、解体して土地だけで売り出す方法もあります。ここからは、家を解体して土地だけで売却する場合のメリット・デメリットを見ていきます。

以下が家を解体して土地だけで売却する場合のメリットです。

  • 瑕疵担保責任の心配がない
  • 買主の負担が軽減される
  • 値引き交渉の理由にされないですむ

瑕疵担保責任の心配がない

建物を解体せずに売却する場合のデメリットでも話した「瑕疵担保責任」ですが、家を解体し更地の状態で売却するのであれば、建物に対する瑕疵担保責任を負う必要がなくなります。

瑕疵担保責任は、売り主にとって大きな不安の要素になりますので、これがなくなるだけでも売主にとってかなり大きなメリットとなるのではないでしょうか。

買主の負担が軽減される

土地を探してる買主は、気にい言った土地に建物があると、解体の問題や手続きなど、何かと厄介な印象を受けます。しかし、解体して土地だけになっていた場合、買主にとっても大きなメリットと考えられますので、結果として早期売却が期待できます。

値引き交渉の理由にされないで済む

建物が残っている状態で売却する場合、購入希望者から「更地にして新築住宅を建てるつもりなので、その分値引きしてもらえませんか?」と交渉される可能性が高いです。

築年数が経過している建物というのは、売買時の値引き交渉のネタにされやすいです。なるべく高値で売却したいのであれば、相手に値下げ交渉の材料となるような情報を与えないというのも1つの作戦かもしれません。

家を解体して土地だけ売るデメリット

次は家を解体して土地だけ売却する場合のデメリットについて解説していきます。

  • 土地の固定資産税が高くなる
  • 解体費用の負担が増える
  • 固定資産税の負担が増えることで売り急いでしまう
  • 思い出の家がなくなる

土地の固定資産税が高くなる

建物を解体してしまうと、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるので、建物分の固定資産税がなくなっても、土地分の固定資産税がかなり高額になる恐れがあります。

これまで年間10万円ほどだった固定資産税は、土地だけでも3倍から4倍くらいの税額になる可能性があります。売却が長期化しそうだと思ったら、固定資産税のことを考え、売却先が決まるまで建物は残しておくのがベストだと思います。

解体費用の負担が増える

更地にした状態で売却するのですから、当然建物の解体費用は売主が全額負担しなければなりません。

木造住宅でも解体費用だと100万円ほど掛かることがありますし、しかもそれらの費用は売却が決まってから支払うというわけにはいかないので、解体費用だけ先に支払う必要があり、現金の出費が大きくなります。

固定資産税の負担が増えることで売り急いでしまう

先に話したように、固定資産税の負担が増えることが予想できるので、売主は少しでも早く売ってしまいたいという焦りが出てきます。売り急いでしまうと過度な値引き交渉にも応じなければならなくなり、結果として買い叩かれてしまうことも多いようです。

思い出の家がなくなる

建物を解体する最大のデメリットだと思っているのが、家族との大事な思い出の家が無くなってしまうことです。管理人も、小さいときから中学生まで育った家は売却され、今はもう跡形もありません。

これは売り主にしか関係がないことではありますが、やはり自分たちが小さいときを過ごしてきた家がなくなってしまうというのは、本当にさびしいものです。

解体費用の相場

ハウスメーカーや不動産会社の営業をしているとき、「家の解体って金額どれくらいかかるの?」という質問をされることが良くありましたが、これは物件によってかなり差があるので、一概にいくらとは答えられません。

単純に「家」と言っても、木造住宅もあれば鉄骨造の住宅もあります。1階が店舗やガレージになってるような家もあります。

家の周辺環境も解体費用に大きく関係しています。トラックが入れるほどの道があるのか、住宅密集地の狭小住宅ではないかなど、ほぼすべての物件の状況が違っているので、一概に解体費用はおおよそ○○万円ほどです。と答えるのは本当に難しいです。

道幅が狭くトラックが入らないような家だとしても、それだけで解体費用が20万や30万円違ってきます。

解体の費用相場を知りたいのであれば、業者に現地を実際に確認してもらうことです。プロの専門業者ならおおよその見積額を計算することができます。

逆にいうと、ただ建物の坪数や構造を聞いただけで、「だいたい○○万円くらいかな」と軽々しく答える業者のほうが信頼できません。

解体費用の相場も用意しましたが、この金額は平均的なものであり、物件の状況や周辺環境によって大きく費用が変動するということは覚えておきましょう。

木造住宅 1坪あたり25,000円~40,000円
鉄骨住宅 1坪あたり30,000円~50,000円
鉄筋コンクリート住宅 1坪あたり40,000円~60,000円

家の建築と同じで、建物の面積が大きければ単価は下がり、小さければ単価は高くなるのが一般的です。

昔の家は今よりも広い家が多いので、平均すると40坪~45坪くらいが多いと思います。40坪で考えるなら、木造住宅の解体費用だけでも約80万円~120万円ほどになるのが一般的な相場だと思います。

解体費用に含まれるものと別途料金が掛かるもの

木造住宅であれば、解体費用の坪単価は平均20,000円~30,000円と言いましたが、実際この費用にどのような項目が含まれているのか解説しておきます。

  • 仮設工事費(足場を組んだり、周囲の車などに養生シートをかけたりする費用)
  • 解体工事費(建物の解体に掛かる費用)
  • 廃棄物処理費用(解体した木材やガレキを廃棄するための費用)
  • 事務手数料(道路使用許可などの申請費用)
  • 人件費(解体する職人さんの手当て)

本当に建物を解体するだけであればこれだけでも良いのですが、実際更地にして売却しようと思ってるのであれば、これだけでは済まないことがほとんどです。

例えば、駐車スペースの撤去、樹木や花壇の撤去、門戸の撤去などは、多くの家にもあるものです。これらを撤去するには、別途費用がかかると思ってください。

つまり本来の解体費用というのは、以下の項目と計算になります。

建物の解体費用+解体に付帯する諸費用+別途工事費用=解体工事の総費用

別途の工事費用の相場もいくつか紹介しておきます。

  • コンクリート型浄化槽撤去処分費用 約15万円~20万円
  • FRP型浄化槽撤去処分費用 約5万円~10万円
  • ブロック塀の解体費用 1㎡(1m×1m)あたり6,000円~8,000円
  • 井戸撤去処分費用 直径1m×深さ5m 10万円~15万円
  • カーポート撤去費用 約10万円~15万円

これらの費用はあくまでも目安です。井戸の撤去の場合、開いた穴に砕石などを入れて埋め戻ししなければならないのですが、家の解体中にブロックや基礎、土間などの解体があれば、そこで発生した砕石を入れて埋め戻すことができるので割安になります。

このように他の解体工事との兼ね合いにより、別途工事の費用は大きく変わってくることも理解しておきましょう。

解体費用が業者によって大きく違う理由

同じ家の解体見積りを複数社から取り寄せたとき、金額が数十万円単位で違ってることがあります。

A社の解体見積りは85万円だったのに対し、B社の解体見積りは120万円。その違いは、なんと35万円にもなります。

パッと見た感じでは、誰でもA社に解体依頼したくなると思いますが、実はそんな単純なことではありません。

例えばですが、A社の場合は本当に建物の解体費用のみを試算した見積りだったのに対し、B社はその家の建築図面などをみて、杭基礎が使ってあったり、浄化槽が敷地内に埋まってることまで把握した上での撤去見積り費用だとします。

この場合、最初の見積もりが安かったとしても、追加料金が加算され、B社の見積もりより高くなってしまうことも考えられます。

このように、ただ解体見積りといっても、どこまでの工事がその見積書に含まれているかを詳しく比較することがとても大事です。

結局どちらがお得なのか

それぞれ状況別で詳しく解説してきましたが、ここで一度話しを戻します。

結局のところ、築古住宅の売却は建物があったほうが良いのか、解体して更地にしたほうが良いのかという問題ですが、管理人としては建物は残した状態で売却することをおすすめしたいと思います。

理由は簡単です。建物の解体は後からでも出来るからです。一度壊してしまうと、元に戻すことはできません。

まずは建物がある状態で売りに出してみて、最低でも5ヶ月~6ヶ月くらいは様子をみておきましょう。それで反応が良くなければ更地にして土地のみで売り出すことを検討すれば良いと思います。

不動産の売り物件が市場に浸透するまでには、早くても1ヶ月、遅ければ3ヶ月は掛かると言われています。

それでもまだ迷っているのであれば、建物を残して中古住宅として売り出すとき、物件情報の中に「更地渡し相談可」と文言を加えておいてもらうといいでしょう。

ただ単に「更地渡し可」とだけ書いておくと、解体費用は丸々売主負担となってしまうので、あえて「更地渡し相談可」と書いておくことをおすすめします。

古い家を売る時のポイント

ここまでは築古物件は解体したほうがいいのかについて解説してきましたが、ここからは単純に築古物件を売却する場合のポイントについて解説します。ここでも築古物件とは築40年、築50年の住宅を想定します。

業者選びの大切さ、買取制度の認知、なぜ築古住宅が売り時なのか。空き家をこれまでのように放置することのリスクも知っておきましょう。

仲介業者選びがポイント

もし管理人が築30年以上の築古住宅を売却することになったら、まず一番重要視するのは売却を依頼する業者選びです。

どんな不動産業者にお願いしたとしても、すぐに買い手が見つかるのは、相場割れしている掘り出し物件か、人気の地区にある築浅の中古住宅だけです。

特に築10年を過ぎた中古住宅は、売却を依頼する不動産業者の手腕がはっきりと現れます。「売却価格」と「売却までの期間」、この2つは不動産業者の宣伝力と経験が大きくものをいいます。

管理人が不動産業者選びの判断基準にするのは以下の3点です。

  • 知名度と信頼性
  • 宣伝力
  • 営業担当の人柄と能力

ちなみにこの3つに割合をつけるとしたらこうなります。

知名度と信頼性 15%
宣伝力 50%
営業担当の人柄と能力 35%

やはり一番大事なのは宣伝力です。どれだけ宣伝してくれるかで成果は大きく違ってきます。宣伝力がある不動産業者というのは、資金力があるという意味ではありません。もちろん、お金を掛けた新聞折込チラシや、不動産情報誌などへの宣伝広告も大事です。

しかしそれだけでなく、今の時代はインターネットをうまく活用している業者や、頻繁にオープンハウスを実施してくれる行動力も、立派な宣伝力だと思っています。

狭い視野で業者探しする時代ではない

住んでる街の不動産会社、知人に紹介してもらった不動産業者など、狭い視野で不動産業者を探す時代ではなくなってます。

これまでは東京に気になる不動産業者があっても、地域の問題で相談できずにいた人もいますが、今は、インターネットという便利なツールを誰でも利用できる時代です。例え地方の物件であっても東京の不動産業者に売却を依頼することだって出来ます。

物件案内など気になりますが、それも心配いりません。やり手の不動産業者はその地域で協力してくれる不動産業者を探してくれますので、いざ物件案内が入ったときは地元の協力業者がしっかりと対応してくれます。

このように、東京の不動産業者の宣伝力と地元業者の行動力を上手に利用することで、お互いの業者の良いところ取りができます。もちろんこの場合でも、売主が支払う仲介手数料は同じなので心配無用です。

全国対応してくれる不動産業者は、インターネットの一括査定サイトで誰でも簡単に探すことができるので、気になる人はぜひ利用してみてください。なかには「仲介手数料は売主から頂きません」という業者もあったりするので、利用してみる価値はおおいにあると思います。

買取や買取保証を利用する

どうしても売れないとき、最後の砦になってくれるのが業者による「買取」や「買取保証」です。

買取と買取保証、似たような言葉ですが意味も違いますし、利用する場面も違いますので、まずはそれぞれの制度を簡単に説明しておきます。

業者買取とは

買取というのは、不動産業者などに直接物件を買い取ってもらうことを言います。一般的な不動産売買というのは、あくまでも売主と買主の個人同士での取引になり、その仲介役をしているのが不動産業者です。

しかしこの買取では、売却相手が不動産業者ということになります。仲介ではないので、仲介手数料を支払う必要もありませんし、業者へ売却するのですから瑕疵担保責任を負う必要もありません。

そう聞くと「買取」のほうが楽そうだし良いね。と思うかもしれませんが大きな問題が1つあります。「買取価格」です。

業者による買取の場合、平均買取相場は市場売却相場の5割~7割と言われています。つまり、通常の不動産売買であれば2,000万円で売却できるであろう物件でも、業者による買取となれば買取額は1,000万円~1,400万円くらいが相場となってしまいます。

買取保証とは

買取保証ですが、こちらは通常の不動産売買と業者による買取のハイブリッド型だと考えてください。

一定期間は通常の不動産売却にて販売活動をしますが、その一定期間を過ぎても買い手がみつからなければ、売却依頼を受けていた不動産業者が事前に提示していた価格で直接買い取るというシステムです。

業者によって違いはありますが、ただの買取よりも買取額は多少高くなる傾向があります。それでも市場相場の6割~8割くらいだと思ってください。転勤を控えていたり、相続税の支払いなどの期限が決まっているときなどに有効な販売方法だと思います。

買取に関する内容は以下のページで詳しく解説しています。古い家がなかなか売れなくて困っている人は、ぜひチェックしてください。

家の買い取りを業者に依頼すると売却相場の7割!損か得か?

中古住宅が見直されている

テレビや雑誌などでも多く特集されていますが、昨今、中古住宅の価値が見直されています。特に人気となっているのが、築30年~築50年くらいの築古住宅や古民家です。

多くのテレビ番組で、築古住宅のリフォームやリノベーションを取り上げており、そんな人気に比例するように、ここ数年は築古住宅や古民家の売買が増加しています。

あまり適切な言い方ではないと思いますが、そのリフォームやリノベーションブームに便乗して、今のうちに築古住宅や古民家を売却してしまうのが理想ではないかと思います。

「リフォーム向き物件」、「リノベーションに最適」、「古民家ブーム」、「DIYで田舎暮らし」など、とくに検索されそうなキーワードを、売却物件の情報に盛り込んでおけば、それなりに注目される確率が上がりますし、地元だけでなく田舎暮らしを模索してる遠方からの問い合わせも期待できます。

このあとの項目でも詳しく解説しますが、今後築古住宅への規制や強化はさらに厳しくなることが予測できます。

リフォームやリノベーションによる築古住宅や古民家ブームだからといって、もしかしたらもっと価値が上がるかもなどと欲張らず、「売れるうちに売っておく」、「買ってくれる人がいるうちに売ってしまう」ということを重要視しておきましょう。

空き家の状態で放置はダメ

「これまで空き家のまま維持してきたから、売り急ぐ必要はない」と考えているのであれば、早急に考え方を改めるべきです。

たしかに、これまでは空き家のまま放置していても、1年間でわずかな固定資産税さえ払うだけですんでいました。しかし、冒頭で触れたように2015年に「空き家対策特別措置法」が施行されました。

この法改正により、これまでのように空き家を放置してると行政から処分を受ける可能性がありますし、運よく行政からの指導が来なくても、固定資産税が倍増される恐れがあります。

今は適切な維持管理ができてない空き家に対して、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。これまで年間で5万円程度しか払ってなかった固定資産税が、この特定空き家に指定されることで年間数十万円という固定資産税の請求がきてしまう恐れがあります。

優遇措置の対象から外れてから慌てて売ろうとしても、今度は買い手がそう簡単にみつからず、「売りたいのに買ってくれる人がいない」という問題につながってしまいます。

「将来的に売るつもり」、「いずれ売却する予定」というのは通用しない時代になっています。もし相続などにより、築30年、築40年、築50年という築古住宅を所有しているのであれば、「売れるうちに売っておく」、「買ってくれる人がいるうちに売ってしまう」ということが一番大事だと思います。

まとめ

築年数が経過してる戸建て住宅を売却しようと思ったら、まずはその住宅について理解することから始めてください。購入価格、今の状態、リフォームの有無など、まったく何もわからない状態だと、不動産業者も適切なアドバイスができません。

建物を撤去するか、そのままの状態で売りに出すかという問題は、物件の状況にもよりますが、まずは建物を残した状態で売りに出し、売却に苦戦するようであれば建物を解体して更地の状態で売りに出す方法をおすすめします。

そして一番大事なのが、売却を依頼する不動産業者選びです。不動産業者の中には、もし売れなかったとき自社で買取りしてくれることがあります。ただし、業者による買取は、すべての不動産業者が対応しているわけではありません。実際、自社で買取保証までしてくれる業者は、全体の1割程度でしょう。

もし身近にそのような業者が存在してない場合も、インターネットの一括査定サイトなどを利用して、対応してくれる業者を探しましょう。一括査定サイトは、一度の依頼で複数社へ相談することができますし、自分の希望する項目で業者を探すこともできます。

築古物件の売却方法は、物件によって最適な売却活動が異なります。まずは物件の現状を確認する。次に、早く売りたいのか高く売りたいのか自分の売却方針を明確にする。そして、理想の売却を実現してくれる業者を探して、理想に近い売却を進めていきましょう。

おすすめの一括査定サイト

大手6社がまとめて比較できる「すまいValue」

すまいValueは、三井不動産リアルティ、小田急不動産、野村の仲介PLUS、東急リバブル、三菱地所ハウスネット、住友不動産販売、の大手企業6社に一括で査定が出せるサービスです。

登録されている不動産会社は、全国にネットワークがあるので、どの地域の不動産にも対応してくれます。

大手なので利用者が多く、比例して購入希望者や相談者の数も多いので、高く売るために大事な「早期売却」ができる可能性が高くなります。

初めて一括査定を利用する方や、契約している仲介業者を変更したいという方は、すまいValueの利用をおすすめします。

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首都圏の人は迷わず「ソニー不動産」

ソニー不動産

ソニー不動産は、大手企業のソニーグループが運営する不動産仲介サイトです。

このソニー不動産の特徴は、売却か購入か、どちらか一方の仲介しかしないことです。つまり両手仲介にならないので、売り主にかなり有利なサービスを提供しています。

ただし弱点もあって、現在利用できるエリアが、東京・千葉・神奈川・埼玉と首都圏だけに限定されています。

それがなければもっとおすすめできるのですが、とにかく対象地域に住んでいる人にはかなり有利なサービスなので、まずはここから相談してみるのがおすすめです。

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老舗企業が運営する「スモーラ」

スモーラは、以前から不動産専門サイトを運営してきた企業で、マンションリサーチが運営する一括査定サイトです。

大都市圏だけではなく、地方都市での売却にも非常に強く、特に戸建て(一軒家)の売却に力を入れています。

不動産のプロ集団から成り立つ企業が運営しているので、不動産に関する売却の相談ならほとんど全てをカバーしてくれるというのも、他の一括査定サイトにはない特徴です。

またスモーラの場合、売却だけではなく、業者による直接買取や、賃貸として家を貸す場合の査定もできるので、売るか貸すか迷っている方や、買い手が見つからなさそうという方はスモーラを使ってみましょう。

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