2018年より義務化されるホームインスペクション(住宅診断)

中古住宅を売却するときに、ホームインスペクション(住宅診断)の確認が義務化されることになりました。早ければ、2018年内には実施されるといわれています。

内容としては、不動産業者と媒介契約をする際と、売買契約前の重要事項説明の際に、物件のホームインスペクションについて確認、説明することになります。

ホームインスペクションとはどんなことなのか、なぜ契約時に確認事項となったのかなどについて、分かりやすく解説をしていきます。

ホームインスペクションとは

ホームインスペクションとはどんなものなのかというと、住宅の専門家が第三者の立場で住宅の評価を客観的に行うことです。

評価基準ですが、国土交通省による既存住宅インスペクションガイドラインが基本になっています。

ホームインスペクションには目視による一時インスペクションと、一部破壊検査を伴うこともある二次インスペクションがあります。

目視による一次インスペクションで何らかの異常や劣化が認められた場合には、修繕や補修の対象になるため、一部破壊検査を伴うこともある二次インスペクションを受けることになります。

戸建て建築物の説明義務の対象は、基礎、壁、柱などの主要基本構造部分の強度、それに雨水の侵入を防いでいる屋根、外壁、開口部など建築の主要部分になっています。

なぜホームインスペクションの説明が義務化されたのかというと、中古住宅の流通を促進する目的で2016年1月10日にスタートした、宅建業法の一部改正によってホームインスペクションの説明義務が発生したからです。

日本の中古住宅市場は欧米各国に比べると、市場の流通性はかなり低水準になっています。流通性を上げるためにリフォーム市場を形成して、市場規模を一気に20兆円まで高めて、新たな需要を喚起することで経済の活性化を図りたいという狙いがあります。

インスペクションの実施期間は、1年以内に行われたものが対象になるので、買主も安心して中古住宅を購入することができます。

売主側にとっても隠れた瑕疵責任の心配をしなくても良くなるので、売主と買主両方にメリットがあります。安心して中古住宅の売買ができる市場環境を整備していくことが出来れば、中古住宅市場は活況を呈するようになるので、自然に経済が活性化していきます。

ホームインスペクションの費用相場

ホームインスペクションの費用相場ですが、簡単な検査でしたら7万円前後という金額が多いようです。しかし、詳細に調べて欲しいということになると、10万円~15万円前後の料金になるといいます。

詳細なインスペクションの内容ですが、屋外・室内・床下・小屋根・天井裏・設備関連となっているのが一般的です。それぞれの内容ですが、以下のようになっています。

屋外の検査項目

屋外の検査項目は大きく分けると8項目になります。

  • 基礎部分のひび割れや著しい欠損の有無
  • 鉄筋の露出、浮き、剥がれの有無
  • 蟻道の有無
  • 外壁のひび割れ、欠損、剥がれ、変色やコケの発生、隙間、腐食、ずれ、錆、雨漏りなどの有無
  • 雨といの破損、外れ、ヒビ、詰まりの有無
  • 軒裏のひび割れ、欠損、浮き、剥がれ、雨漏り、腐食の有無
  • バルコニーの防水層の破断、面格子(めんこうし)のグラつき、錆、腐食、転落防止用手摺の状態、網戸の作動状態などの確認
  • 外部階段の構造体と支持部の欠損、取り付け部の破損、踏面の腐食、破損、手すりの状態、指示部の腐食の有無

室内の検査項目

室内の検査項目は大きく分けると5項目になります。

  • 柱、壁、梁の腐食やカビの有無
  • 仕上げ材の割れ、浮き、剥がれやヒビの有無
  • 床材の割れや剥がれ、浮きや傾きの有無
  • 階段の状態の確認
  • 天井や壁紙の剥がれや浮き、亀裂、腐食、ひび割れ、カビや欠損などの有無

床下(侵入して確認できる範囲)の検査項目

床下の検査項目は大きく分けると4項目になります。

  • 土台や床組みの部材や接合部の状態の確認
  • 基礎の耐圧盤と基礎立ち上がり部分の確認
  • 束のゆるみや浮き、錆の有無
  • 災害履歴と漏水痕、火災痕、蟻害などの確認

小屋根・天井裏(点検口から確認できる範囲)の検査項目

小屋根・天井裏の検査項目は大きく分けると5項目になります。

  • 梁桁と小屋組の部材や接合部の状態確認
  • 金物の不足や緩み、錆の有無
  • 鉄骨造の状態確認
  • 各階間の天井裏の部材と接合部の状態確認
  • 換気ダクトの状態確認

設備関係の検査項目

設備関係の検査項目は大きく分けると8項目になります。

  • 封水の状態確認
  • 給排水設備と換気ダクトの作動状態確認
  • 浴室の給水状態と漏水確認
  • トイレの給水状態と漏水確認
  • キッチンの給水状態と漏水確認
  • 電気温水器などの給水状態と漏水確認
  • 最終ますの状態確認
  • 火災報知器設置状況の確認

このように10万円~15万円前後の料金で、かなり細かく診断をしてもらえます。ここに挙げた料金ですが、業者によってばらつきがありますから事前に確認をしておく必要があります。

住宅ストック循環支援事業の補助金

住宅ストック循環支援事業の補助金とは、良質な中古住宅の市場流通活性化を目指して行われている補助金制度です。インスペクションを実施した結果、エコや耐震対策を行った場合に補助金支給されます。

補助金の支給について

住宅の個人間売買をする場合は個人が補助金を直接請求することになりますが、媒介契約をした業者を通じて売買が成立したケースでは、業者が請求して補助金が支給されたら依頼主に還付する方法になります。

金額はインスペクション補助金が一戸当たり5万円で、インスペクションの結果エコ対策のリフォームをした場合だとインスペクションとリフォームを含めて50万円を限度に補助金が支給されます。これに耐震対策を含んだ場合は、65万円を限度に補助金が支給されます。ちなみに、いずれも限度額ですから、リフォームの内容によって補助金の額は変動するといいます。

補助金を受けるには?

補助金の交付を受けるためにはインスペクションの結果、エコ対策のリフォームをすることが必要です。

リフォームの内容にも規定があって、それは下記のとおりです。

  • ドアや窓などの開口部の断熱改修
  • 外壁、屋根、天井や床の断熱改修
  • 設備エコ改修3種類以上を行う
  •   →太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽・高効率給湯器・節湯水栓の中から選択

これらの改修工事の合計が5万円を超えなくてはいけません。それと、上記に併せて次の工事も補助金交付の対象になります。

  • エコ住宅設備
  • 木造住宅劣化対策工事
  • バリアフリー改修
  • 耐震改修
  • リフォーム瑕疵保険加入

補助金の交付を受けるためには、ここに挙げた条件を満たす必要があります。

手続きの流れ

補助金交付を受ける手続きですが、住宅を売買したりリフォームをする場合、一般的には業者を介在させますから業者が申請することになります。

その流れは、以下のとおりです。

  1. 補助事業者の基礎情報を事務局に登録
  2. 中古住宅の再販情報を登録
  3. 補助事業者(業者)は工事請負あるいは売買契約を締結して事業内容を決めてから事務局に申請
  4. 申請内容に不備がなければ補助金の交付が決定される
  5. 補助事業者(業者)は引き渡しやリフォーム工事の完了を事務局に報告
  6. 事務局が確認次第補助金を交付

このような流れで、補助金は交付されます。

調査会社を比較する際のポイント

ホームインスペクションをやってくれる会社は、現状でもかなり多くの数があります。

業種も一級建築士事務所や不動産会社、リフォーム業者、JSHI公認インスペクターなど多彩ですから、どこに依頼をすればいいのか迷います。

そこで、押さえておきたいポイントを4つ挙げてみました。

実績が豊富なこと

中古住宅の状態は千差万別です。築年数の違いや、建物の構造の違い、使われている材料の違いなどが一戸一戸まったく違います。これらの条件をクリアーして的確な診断を下すためには、かなり経験値が必要です。

過去の実績をストレートに聞くことと、インスペクションを依頼する建物の工法に詳しいかなどを判断基準にしましょう。

コミュニケーション能力が高いこと

診断終わっても、媒介契約をしている不動産業者や買主に対する説明などがありますから、コミュニケーション能力が高くないと上手くいきません。

高圧的な態度や、信頼関係を崩すようなことをしないインスペクターを抱えている会社を選びましょう。

説明が丁寧であること

まだ正式に契約をする前の段階で、このことは分かります。専門用語をやたら繰り出してきたり、面倒くさそうに対応するようなインスペクターや営業担当を抱えているような会社は敬遠した方が無難です。

あまりに安い料金に注意

余りにも料金が安いということは、何か裏があると思った方が賢明です。例えば、経験値がないので能力に自信がないとか、他にもさまざま考えられます。

やはり、適正料金できちんとした仕事をしてもらうことが一番大切なことになりますから、現状ではあまりにも安い料金設定の会社は避けた方が無難です。

それと、リフォーム会社がやっているホームインスペクション部門の場合とか、リフォーム会社と癒着している会社の場合、その場でさまざまなリフォームを勧めてくるケースがありますから、注意してください。

ホームインスペクションの場合、絶対的に第三者性を堅持していなくてはいけませんから、このようなケースはあってはならないことです。

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