駐車場(コインパーキング)経営の初期費用や利回り、リスクとは

駐車場(コインパーキング)経営の初期費用や利回り、リスクとは

[PR]

駐車場経営は土地活用の中でも、比較的リスクが低くて、人気の活用方法の1つになっています。

駐車場は大きく分けると、平面駐車場・自走式立体駐車場・タワーパーキングを含んだ機械式立体駐車場・コインパーキングなどがあります。更地にしておくと固定資産税が高額になるので、とりあえず駐車場をやってみようかという感じで始める人もいます。

駐車場経営のメリットはいろいろありますが、主なものとしては

  • マンションや商業ビル経営を始めるよりは初期費用がかからない
  • やめる時に居住権や営業権による立ち退き問題がない
  • 管理が楽である

等です。しかし、一方ではデメリットもあります。

  • マンションや商業ビルに比べてリターンが少ない
  • 空きスペースが埋まらないこともある

等があります。他にも駐車場経営をする時に出てくる疑問はいろいろありますが、ここでは、駐車場経営について、できるだけ分かりやすく説明をしていきます。

駐車場経営で必要な初期費用とランニングコスト

駐車場経営を始める時には初期費用が必要になりますし、営業を維持していく為にはランニングコストがかかります。

初期費用や、ランニングコストの内容とどれくらいかかるのかなど、駐車場経営にかかる費用について説明していきます。

初期費用

駐車所を始める時にかかる初期費用ですが、駐車場のタイプによって変わってきます。ここでは、初期費用があまりかかならい平面駐車場の未舗装を除外して、初期費用の目安をいくつか挙げていきます。

平面駐車場

アスファルト舗装とコンクリート舗装でコストが違いますが、ライン引きや駐車番号表示代や車止め、その他の設備や歩道の切り下げ、電気工事などの費用を入れて1台あたりの単価は10万円~50万円ぐらいになります。維持管理費は照明の数などにもよりますが、1台あたり月額1,000円くらいが目安になります。

自走式駐車場

ほとんどが建築物になる構造の製品企画なので、1台あたりの単価は100万円~350万円ぐらいの企画が多いでようす。維持管理費は1台あたり月額1,000円ぐらいです。

機械式

4列5段とか3列4段などという企画の物です。地上型と地下型があります。どちらも基礎工事などの付帯工事が入りますから、1台あたりの単価は100万円を少し超えるぐらいになります。

タワー式になるともう少し価格は上がって、1台あたりの単価が350万円~500万円ぐらいになります。
維持管理費ですがタワー式が1台あたり月額8,000円前後で、それ以外の機械式が1,000円~4,000円ぐらいになります。

コインパーキング

コインパーキングの場合、1台分の設備にかかる費用は25万円前後が一般的です。それに、無人で管理をしなくてはいけませんから、精算機とロック板が必要になります。清算機は1台40万円前後で、ロック板は1台分の価格が10万円ぐらいかかります。

維持管理費は1台あたり月額で2,000円ぐらいです。ちなみに、この料金には緊急の電話受付や修理も含まれていることが多いので、割安な感じになります。

ランニングコスト

ランニングコストは駐車場の種類にもよりますが、施設の維持管理費プラス照明の電気代、消火器の点検交換費用、塗膜防水メンテナンス費用、消防設備点検費用などが主な項目になります。

1例として、2層3段100台規模のマンション自走式駐車場の年間コストを挙げてみます。

  • 維持管理費:120万円
  • 照明等の電気代:14万円
  • 消火器の点検交換費用:3万円
  • 塗膜防水メンテナンス費用:2万円
  • 消防設備点検費用:11万円
  • 固定資産税:土地によって異なる

こちらの場合は合計で150万円+固定資産税になります。

固定資産税抜きでコストを計算してみると、1台当たり年間15,000円、月額だと1,250円になります。この例で分かるように施設の維持管理費が一番高額になり、照明などの電気代は、思ったほどではありません。

やはり、機械式ではなくてもメンテナンスは必要なので、それなりにランニングコストはかかってしまうので注意が必要です。

利回りの目安について

駐車場を経営すると、どの程度の利回りがあるのかという疑問があります。ちなみに、利回りとは投資金額の回収スピードを表す数字ですから、必ずしも利回りが高いからといって営業利益率が高いとは限りません。

その理由ですが、利回りは投下資本に対しての利益率で、営業利益率は売り上げからランニングコストを差し引いた数字を、売り上げで割ったものだからです。つまり、利回りと営業利益率は全く違うものになるので注意が必要です。

それと、利回りの計算方法には「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。それぞれの計算方法は次のとおりです

  • 表面利回り=賃料収入÷初期費用×100%
  • 実質利回り=(賃料収入×稼働率-ランニングコスト)÷初期費用×100%

表面利回りは、地域全体の利回りを参考にする時に有効な数字で、自分が駐車場経営をした時にどの程度の数字を確保できるのかという、おおよその感覚をつかむことは出来ます

一方の実質利回りは、計算方法を見てもわかるとおりで、初期費用とラニングコストが大きく影響してくるので、営業収入に近い数字を示してくれるのが特徴です。

東京・大阪・名古屋の利回りの傾向

東京、名古屋、大阪の利回りの傾向について見ていきます。
条件ですが、駐車場は収容台数10台程度のコンクリート舗装平面駐車場で、月極め駐車場。条件としては初期費用が約110万で満車の場合を想定しています。

  • 東京の駐車場利回り:平均賃料27,100円として148%~183%
  • 名古屋の駐車場利回り:平均賃料11,500円として63%~78%
  • 大阪の駐車場利回り:平均賃料15,900円として87%~108%

結果的をみると、当然ですが賃料が高いほど利回りは良くなっています。地価に地域格差はありますが、工事単価は地域格差がないことも原因の1つになっています。

この結果から、大都市で地価の高い方が利回りは良いので、初期投資の回収期間は短くて済むということになります。

アパートやマンションのような賃貸物件と違って、新築に人気が集まるということもありませんから、空きが出たらそのまま次の希望者に貸すことが出来て、次の人に貸す時にクリーニングなどのメンテナンス費用の必要がないことも、駐車場経営の大きな特徴です。

駐車場経営のメリット

駐車場経営は他の土地活用にはない、独特なメリットがいくつかあります。マンションや商業ビルなどの賃貸物件を経営するときには、かなり大きな初期投資が必要ですが、その必要がありません。

それと、賃貸物件の経営には居住権と営業権が発生しますから、やめようとしたときなどには立ち退き補償問題が発生しますが、それもありません。さらに、保守管理が楽だということがあります。

それ以外にも、駐車場経営には大きなメリットが3つありますから、項目別に説明をしていきます。

低リスクで始められる

冒頭でも説明しましたが、駐車場経営は初期投資額が少なくて済みます。アパートやマンション、商業ビルの経営を始めようとした場合ですが、初期投資額は少なくても数千万円、多ければ数億円の単位になります。

それに比べると駐車場経営、特に平面駐車場やコインパーキングの場合だと、かなり少額で済みます。

仮に思ったような経営状態にならないのでやめようと思った時ですが、数千万円から数億円の投資をしてしまっていると、なかなか判断が難しいです。そうしているうちに、累積赤字が増え続けてしまうこともよくあるそうです。

しかし、駐車場の投資額でしたら、思い切って止めることに対しても比較的決心がつきやすいので、累積赤字を増やさずに済みますから、低リスクだといえます。

狭小地や変形地でも有効活用

狭小地の面積ですが一般的には20坪以下、あるいは15坪以下だといわれています。実際の部屋でイメージすると、6畳間だと7部屋分、11畳のLDKだと4部屋分ぐらいが目安になります。

変形地ですが、土地の形が長方形や正方形ではなくて、L字型や台形、それに三角形に近い形などの土地を変形地と呼んでいます。

普通に考えると住宅を建てようと思った場合は、かなり無理が有る土地の形になっています。なかなか売却するのが難しい土地ですが、駐車場なら活用することも出来ます。場所さえ良ければ経営も上手くいきますから、駐車場ならではのメリットになります。

短期間で経営が開始できて運用も簡単

アパートやマンション、商業ビルなどを建設すると、完成まで長期間かかります。長い工期の間ですが、投資金額に対して回収はゼロになるので、金利だけが発生していて、売り上げがない状況で金利負担が膨らんでいきます。

しかし駐車場の建設工期は、アパートやマンション、商業ビルなどと比べると短期間なので、投資額の回収開始までの時間は短くて済みます。工事期間で発生する金利負担は少なくて済みます。

駐車場経営のデメリット

いいことばかりのように感じる駐車場経営ですが、それなりのデメリットもあります。
デメリットは3つありますから、項目別に説明をしていきます。

リターンが少ない

よく投資でハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンといいますが、駐車場経営は他の比べるとローリスク・ローリターンになります。

ここではアパート経営と駐車場経営のリターンについてみていきます。アパート経営の例として38㎡という標準的な面積の1LDKで家賃が12万円だとします。この場合、1㎡あたりの賃料は3,421円になります。

一方の駐車場経営ですが1台あたりの平均的な駐車スペースは、幅3m×縦5.5mですから16.5㎡が標準です。

ひと月の賃料が25,000円だとすると、1㎡あたりの賃料が1,515円になります。両者を比較してみると、半分にも満たない44%ぐらいの賃料になってしまいます。ただし、1㎡にかかっている投資額には、かなり隔たりがあることも事実です。

なお、この数字は東京都23区内の同じ地域にある1LDKマンションの家賃と、月極め駐車場の賃料で比較して算出してみました。

立地に左右される

駐車場経営の良し悪しは、立地によって相当左右されてしまいます。特にコインパーキングを含めた時間貸し駐車場の場合は、稼働率が立地によってかなり左右されます。

繁華街や大型商業施設、駅に近い立地ですとかなり稼働率が良くなりますが、逆に駅から離れてしまったり、繁華街や大型商業施設から距離のあるようなロケーションになると、立地によっては利用客が減ってしまいます。

駐車場が埋まらないリスク

これは駐車場経営以外にもアパート経営にも言えることなのですが、なかなか空きが埋まらないことがあります。

そうなると、空いている期間の賃料が入ってきませんから、ランニングコストは現在埋まっている部分の賃料で賄わなくてはいけなくなります。空きが原因で、利益率が大きく下がってしまうので、空きスペースの数によっては、赤字に転落する可能性も否定できません。

駐車場経営を始める際の流れと手続き

駐車場経営を始めようとしたときには免許や資格、届け出が必要なのだろうか、どんな流れで始めればいいのかという疑問が出てきます。

駐車場経営に必要な免許や資格はありませんし、特別な届け出をすることもありません。平面駐車場にしても、機械式駐車場を始める時でも、設備が完成してしまえば即日営業を始めることが出来ます。

ただし、家屋が建っていた土地を更地にして始める時には、やはり必要な届け出があり、段階を踏んでいく必要がありますので、説明をしていきます。

家屋を取り壊して駐車場にする4つのステップ

家屋を取り壊して駐車場にするためのステップですが、次のとおりになります。

  1. 解体業者を選ぶ
  2. 駐車場工事業者から見積もりを取る
  3. 解体業者から建物取毀し(とりこわし)証明書をもらって滅失登記をする
  4. 駐車場工事業者と契約

では、項目別に内容を説明していきます。

解体業者を選ぶ

建物の解体は業者によって工事代金に差がありますから、数社から見積もりを取って工事代金と作業内容を比較する必要があります。

工事代金だけに目が行くと、ご近所に迷惑の掛かる工事内容だったりすることもあるので、金額以外の工事内容のチェックも必要です。

業者選びのポイントとしては、ご近所への対応に協力的で、さらに工事終了後に必要書類を迅速に出してくれる業者に工事を依頼するとよいでしょう。

駐車場工事業者から見積もりを取る

自走式や機械式の駐車場にするのか平面駐車場にするのかは、あらかじめ決めておかなくてはいけません。

どの種類にするのかによって、選ぶ業者も変わります。ここでも数社から見積もりを取って、内容と料金やアフターケアの面を比較してください。

コインパーキングをやろうと思っているのでしたら、やはり数社から見積もりを取る必要があります。

解体業者から建物取毀し証明書をもらって滅失登記をする

建物を壊すと法務局に滅失登記をしなくてはいけませんから、壊したことを証明する建物取毀し証明書を解体業者に発行してもらいます。

自分でも滅失登記は可能ですが、土地や諸条件によっては難しい手続きになることもありますから、場合によっては司法書士などに依頼することも必要になります。

駐車場工事業者と契約

滅失登記が終了すると、土地は更地扱いになりますから駐車場工事が出来るようになります。この段階で、工事業者と契約を締結します。コインパーキングをやる場合でも、この段階での契約するのがよいでしょう。

駐車場工事は自走式や機械式の場合は、ある程度の工事期間が必要ですが、平面駐車場やコインパーキングでしたら長くても1ヶ月程度の期間で工事は終わります。

もし、月極めなどを考えているのでしたら、この段階で不動産業者と契約しておくことも必要です。

決算や税金申告の手続き

駐車場経営も個人事業になりますから、決算期には確定申告が必要になります。確定申告は営業初年度にかかった開業費用を1年間の収支から差し引くことが出来ますから、解体業者や工事業者に支払った費用の領収書をきちんと保管しておく必要があります。

その上で、毎月の売り上げや経費の控えもきちんと記録をしておかなければ、確定申告の時に慌てることになります。もし、このような作業が面倒でしたら税理士に依頼すると、全部やってくれます。苦手な人は、税理士に依頼することも検討しておくとよいでしょう。

まとめ

駐車場経営の最大の特徴は、低コスト・低リスクです。親から相続した土地を更地のままでおいておくと、固定資産税ばかりかかってしまいますから、何とかしなければなりません。

駐車場にすると少なくても構造物扱いの減税措置が取られますし、固定収入も毎月入っていきます。

コインパーキングの場合は、立地が良ければ相当な収益を上げることができます。有名人でもコインパーキングを副業にしていて、その年収が800万円ある人もいるぐらいですから、魅力的な土地活用方法の1つです。

ただし、デメリットもありますので、検討している人はリスクを理解した上で、駐車場経営にチャレンジしてみるとよいでしょう。