[PR]
家や土地を売却する書類を必ず用意するものとなるべく用意するものに分けて解説しています。なるべく用意した方が良い書類の多くは、買主が安心して購入するための書類です。
無理に用意する必要はありませんが、買主に他の物件より好印象を与えることができるのでおすすめです。
この記事では、家や土地を売る時の必要書類と紛失した場合の再発行方法をまとめています。共有名義や海外から売却するケースでの必要書類も解説しているので、参考にしてください。
- 【目次】家や土地を売る時の必要書類と再発行方法
不動産を売却する際になるべく用意するもの一覧
必要書類 | 内容 |
---|---|
身分証明書 | 売主が不動産所有者であることを確認するための書類 ・運転免許証 ・パスポート ・保険証 |
実印 | 契約書での認め印は不可 |
印鑑証明書 | 実印が正式に印鑑登録されていることを証明するための書類 |
登記識別情報 | 登記名義人を識別するための書類 |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税がいくらになるのかを知るための書類 |
権利証 | 不動産の所有者であることを証明する書類 |
不動産売却時に必要となる書類は様々なものがあり、仲介業者によって提出が求められる内容は若干違ってきます。しかし、どの業者を利用するにしても必ず必要となってくる書類は決まっています。
身分証明書と実印、印鑑証明書は馴染みもあるため、今更詳しい解説は必要はないでしょうが、残りの3つは不動産売買時にしか必要ないので、どういった書類なのかよく理解していない人も多いでしょう。
あまり馴染みがない3つの書類について内容を解説していきます。
権利証
権利証という名は耳にしたことがあるという人は多いことでしょう。不動産の所有者であることを証明するための書類で、不動産購入時に法務局から発行されます。
正式名称を登記済権利書と言うのですが、2004年の不動産登記法改正により、それ以降の登記時では登記済権利書に代わって登記識別情報が通知書として発行されるようになりました。
改正される以前に購入した場合は登記済権利書の提出、改正後に購入した不動産では登記識別情報の通知書の提出が必要となります。
登記済権利書または登記識別情報の通知書がない場合には所有権の移転ができないため、不動産の売却を行うことができません。これらの書類は基本的に再発行ができませんが、下記のどちらかの手続きを取ることで、所有権の移転ができるようになります。
- 事前通知制度の利用
- 本人確認情報の提供
事前通知制度の利用
権利証を紛失した場合の1つの対策は、事前通知制度の利用することです。事前通知制度とは、所有権の移転を行う登記申請時に提示できない理由を法務局に説明して、登記申請することです。
そうすると、法務局から不動産の売主に本人限定受け取り郵便で事前通知書が郵送されます。
事前通知書が発送されてから2週間以内に、実印を押印して法務局に持参、または郵送すれば売主が不動産の所有者であることが証明され無事に登記が完了となります。しかし、法務局の受け取りが2週間以内という限定があるので、遅れることのないよう十分な注意が必要になります。
本人確認情報の提供
もう1つの対策は、不動産の所有者であることを証明する本人確認情報を用意する方法です。司法書士や土地家屋調査士等の有資格者に書類作成を依頼することで、信頼性の高い書類が用意できます。
前もって用意しておけば事前通知制度を利用するよりもスムーズな登記が行えます。有資格者への依頼となるため5万円から10万円の実費が発生しますが、紛失した場合には最も確実な対応策となってくるでしょう。
固定資産税納税通知書
土地や建物といった不動産所有者には、毎年、固定資産税の納付が義務付けられています。納税額を知るための書類が固定資産税納税通知書で、移転登記時に発生する登録免許税を算出するために必要になってきます。
よって不動産売却時には欠かせない書類となってくるのですが、この書類も再発行ができないため、管轄の市町村役所でその代わりとなる土地家屋課税台帳証明書(名寄帳)の写しを発行してもらう必要があります。
申請時には下記の書類が必要となり、発行手数料として200円から300円程度の費用がかかります。
- 証明書申請書
- 本人確認書
提出が求められる書類は市町村区によって異なるため、何が必要になるのか確認するようにしましょう。
不動産売却でなるべく用意したいもの一覧
必要書類 | 内容 |
---|---|
住民票 | 登記上の住所と現住所が異なる場合必要 |
住宅ローン残高証明書 | 住宅ローンの残高を証明する書類 |
通帳 | 不動産売却額の振込先口座の通帳 |
土地測量図・境界確認書 | 土地面積と隣家との境界線が明記された書類 |
建築確認済証および検査済証 | 建築基準法に基づいて建築されていることを証明する書類 |
建築設計図書や工事記録書 | どのような設計や工事が行われたかが記載された書類 |
耐震診断報告書 | 建物の耐震性を検証した証明書類 |
地盤調査報告書 | 基礎形状や地盤の耐力を検証した証明書類 |
住宅性能評価書 | 住宅の性能評価が明示された書類 |
契約書 | 不動産購入時の契約書 |
重要事項説明書 | 不動産契約時の重要事項が記載されている書類 |
広告資料 | 購入時の販売広告資料 |
次になるべく用意しておきたい書類について解説します。買主が安心して購入できるような書類が多いので、なるべく用意しておくことをおすすめします。それでは下記4つについて詳しく解説していきます。
- ローン残高証明書
- 土地測量図および境界確認書
- 建築確認済証および検査済証
- 耐震診断報告書
ローン残高証明書
住宅ローンを利用して不動産購入すると、借入先金融機関から毎年住宅ローンの残高が記載された書類が発行されます。これをローン残高証明書というのですが、売却時に必要となる抵当権を外す上でも、ローン残高がいくらあるのかはポイントとなってきます。
基本的に金融機関の抵当権を外すにはローン残高を一括返済する必要があるので、売主と仲介業者ともに必ず確認が必要な書類です。返済予定表でも大丈夫ですが実際のローン残金を明確にするなら、現状の状況が記載された最新のローン残高証明書の方が好ましいです。
紛失している場合は借り入れしている金融機関に依頼すれば数日で再発行ができます。一般的には本人確認書だけの提出で再発行が受けられますが、金融機関によって必要書類が異なることもあるので注意してください。
土地測量図および境界確認書
売却する土地面積と隣家との境界線が明記されている書類で、不動産を所得時期が古いものに関しては書類自体がない場合もあります。
売却時に必ず提出が求められるものではありませんが、提出を求められる傾向が高くなっています。もし書類自体が無い場合は、売却時に測量を行う必要が考えられるので、仲介業者に話して相談しておくようにしましょう。
また書類を紛失したケースでは下記の書類を用意して法務局窓口で申請すれば、再発行を受けることができます。
- 地積測量図等証明書申請書
- 本人確認書
手数料として450円の収入印紙代がかかりますが、法務局窓口以外にもインターネットからのオンライン請求ができるので、比較的簡単に再発行することができるでしょう。
建築確認済証および検査済証
住宅建築時には建築基準法に合った家を設計することが求められます。建築時にはその家の設計が違法でないことを役所に申請します。その申請を建築確認申請と言い、違法でないことが認められれば建築確認済証が発行されます。
そして完成した家がその図面通りに建築されていることを証明するために行われるのが検量検査で、検査をクリアしたことを証明するのが検査済証です。つまり、この2つの書類によって違法建築でないことを証明することになります。
違法建築でないことは買主が安心して購入できるポイントとなるので、なるべく用意した方がいい書類の中でも優先度は高いです。書類は再発行ができないため、紛失時にはその代行書類として建築物台帳等記載事項証明書の発行を受ける必要があります。
管轄の市町村役所で発行申請ができますが、申請時に必要な書類や発行手数料は申請先によって異なるため、確認しておくようにしましょう。
耐震診断報告書
現行の耐震基準は1981年5月に改正された新耐震基準ですが、これに対して改正以前の耐震基準は旧耐震基準と呼ばれ、現行の新耐震基準よりも低い基準となっています。近年は大きな地震が多いこともあり、旧耐震基準の中古住宅売却では、耐震性の実情が記された耐震診断報告書の提出が求められるケースが多くなっています。
なければ売却できないという書類ではありませんが、購入後トラブルを避けるためにも必要となってくる書類と言えるでしょう。
耐震診断は専門業者に依頼する必要があり、その費用も利用業者によってバラつきがありますが、20万円から50万円と決して安価なものではありません。しかし、下記のように耐震改修促進を目的とした各自治体による補助金制度が用意されています。
宮崎県高鍋町の木造住宅の耐震診断・改修費用の補助
- 補助額:全体事業額の10分の9
- 補助限度額:6万円
耐震診断報告書の提出が必要な場合には、まず管轄となる自治体でいくらの補助金が受けられるのかを確認するようにしましょう。
必要書類を用意する際に注意が必要なケース
ここまで一般的な不動産売却で必要となる提出書類について解説してきましたが、下記のケースでは提出する書類に違いが出てくるので注意が必要です。
- 不動産が共同名義の場合
- 海外移住者が不動産売却する場合
それぞれのケースについてみていきたいと思います。
不動産が共同名義の場合
不動産は下記のような理由から、単独ではなく共同名義となっているケースも少なくありません。
- 夫婦共同で購入
- 親子二代が資金を出し合って購入
- 複数人で遺産相続
複数人による土地所有であっても、不動産に対する持分割合は決まっているので、自分の持ち分だけを他人に売却することはできます。しかし、所有しているのが土地だけなら問題ありませんが、建物がある場合には売却が困難なのが実情です。
よって実際には持分だけを購入したいという買い手は少なく、共有者全員の同意を得た売却が一般的となっています。
共同名義の不動産売却では名義人となっている全員が売主となるのがことが原則といってもいいでしょう。そのため売却時に必要となる下記書類は、共同名義人全員のものの提出が求められることになります。
- 本人確認書
- 印鑑証明書
- 実印
- 住民票
しかも売買契約時には全員の署名と実印の押印が必要となるため、全員が一度に募る必要が出てきます。全員が近隣に居住していればさほど面倒なことではありませんが、遠く離れて暮らしている場合とか、高齢や病気等で移動できないなどの理由で日程調整が困難なケースも出てくるでしょう。
そんな際に有効な手段となるのが委任状です。
共同名義の不動産を面倒なく売却するには
委任状とは委任状に記載された権限の範囲内において、受任者がその名義人本人に代わって売却手続きができるようになります。共同名義人の一人に残り全員が委任する形をとれば、代表者一人による売却手続きが行えるというわけです。
委任状に決まったフォーマットはありませんが、主には下記のような内容が記載されます。
- 委任者の住所氏名および実印による押印
- 受任者の住所氏名および実印による押印
- 受任者に委任する権利範囲
- 土地情報(登記簿情報)
そして委任状とともに委任した人の下記書類の提出が求められます。
- 本人確認書
- 印鑑証明書
- 住民票
結局のところ全員に書類提出の必要が出てきますが、全員が一度に募る必要がないので、売却手続きはスムースに進めることができるでしょう。
委任状と添付書類が整っている状態でも名義人への売却確認が行われるのが一般的ですが、売却後のトラブルが発生するケースも少なくないので、委任状による売却を行う際には事前によく話し合うことを忘れないようにしてください。
海外移住者が不動産売却する場合
海外移住が長くなれば日本に所有する不動産の処分を検討するケースも出てくるでしょう。所有者本人が帰国して売却を行うという手もありますが、そのためには時間がかかるため事実上不可能なケースが大半です。
その際には代理人を立てての売却となります。信頼できる親族に委任するのも一つの手ではありますが、高額なお金が絡んでくることを考えれば費用は発生しますが、司法書士や弁護士といった専門知識を持つ専門家に依頼するのがおすすめです。
そして海外から代理人を立てた不動産売却で特別に必要となるのが下記の書類です。
- 代理権限委任状
- 在留証明書
- サイン証明書(署名証明書)
そこれではこれら書類について、その内容を解説していきましょう。
代理権限委任状
代理人を立てた売却でまず必要となるのが代理権限委任状です。これは先ほど共同名義の不動産売却で解説した委任状と同じ性質のものとなりますが、今回は受任者が名義人ではない全く別の第三者となることからも、委任内容が詳細に記載されたものである必要が出てきます。
委任状内容に不備があれば代理人による売買契約ができず、帰国を余儀なくされるケースも出てくるので、できれば司法書士等の専門家に不動産売却専用の代理権限委任状を作成してもらうことをおすすめします。
在留証明書
一年以上の海外転出になれば海外転出届の手続きが必要となり、本人住所等の確認を取る手段として大使館から在留証明書の発給が受けられます。海外移住者の不動産売却では住民票の提出に代わり、この在留証明書の提出が求められます。
大使館への申請時には1,200円程度の手数料と、下記の書類提出が必要になります。
- 日本国籍を有することと本人であることを証明できる書類(パスポート等)
- 住所確認のできる書類(現地政府機関が発行した滞在許可証、運転免許証、納税証明書等)
- 滞在開始時期が確認できる書類(賃貸契約書、公共料金請求書等)
発給は申請者本人以外にも代理人による申請もできますが、その際には上記に加えて委任状等の提出が必要となってきます。代理人による申請を行う場合は、事前に大使館へ必要書類の確認を行うようにしましょう。
サイン証明書(署名証明書)
海外移住者の場合は日本での居住住所を持たないため、印鑑証明書の発行ができません。その代わりとなるのがサイン証明書(署名証明書)です。これは申請者の署名が両耳の目前で行われたことを証明する書類となり、印鑑文化のない西洋諸国における印鑑証明書に当たります。
サイン証明書(署名証明書)も大使館への申請となり、1,700円程度の手数料と日本国籍を有することと本人であることを証明できる書類(パスポート等)の提出が必要になります。
この証明書は両耳の面前で本人がサインしたことのを確認、証明するためのものですから、郵送や代理人による申請はできません。申請者本人が直接赴いてサインする必要があるのでよく覚えておきましょう。
まとめ
不動産売買は不動産を所有していると言う権利を購入するという側面があるため、今回解説したように多くの必要書類が求められます。またできるだけ早い売却を望むのであれば、不動産内容やその状態が明確にされた書類の提出も必要不可欠となってくるでしょう。
中には仲介業者が書類の多くを代行して用意してくれる場合もありますが、売主本人が用意しなければならないものも多いです。不動産売却を検討している人は今回紹介した必要書類を参考にして、スムーズな売却となるように用意できるものは早めに準備するよう心がけましょう。