海外への急な転勤でマイホームは売却と賃貸どちらがいい?

海外への急な転勤でマイホームは売却と賃貸どちらがいい?

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会社命令で急な海外転勤が発生した場合に悩むことの1つとして、マイホームを売却するか賃貸として貸すかという問題があると思います。

自分の選択肢としてはどちらが良いのか、いろいろ考えてもなかなか答えを出すことは難しいですが、海外転勤する場合の賃貸や売却に絡む事例や問題にはどんなことがあるのか、分かりやすく解説していきます。

マイホームを売却する場合

急な海外転勤などで住宅を売却することを考えた場合、どのようなメリットがあって、デメリットにはどんなことがあるのか心配です。

メリットもデメリットも数え上がればきりがないのですが、その中でも代表的なことに絞って説明をしていきます。

売却をしたときのメリット

転勤に伴ってマイホームを売却した時のメリットですが、代表的なものとしては3つあります。

1つはまとまった売却代金を得られることです。金額次第ですが、上手くいけばローンの残債を整理して完済することが出来ます。

もう1つは、将来的にマイホームの売却価格が下落するリスクを回避できます。、現時点納得した金額で売ることができれば、価格下落による損失を防げます。今後の住宅価格下落の最大の要因としては、少子化により住宅需要の減少が考えられます。

そして、最後ですが、維持管理費や不動産に関係する税金を払わなくてもよくなります。物件のリフォーム代などの維持管理費、固定資産税や都市計画税などを払わなくても済みます。

売却をしたときのデメリット

一方、売却をしたときのデメリットですが、こちらも代表的な事例としては3通りあります。

まず1つ目ですが、売却に伴う諸費用が発生します。不動産会社へ支払う仲介手数料や、売却益が出た時には所得税や住民税が発生します。しかし、どれも売却時にかかる一時的なものです。

もう1つは、売却価格がローンの残債を下回ってしまうこともあります。この場合には、売却後もローンを払い続けることになりますが、ローンの組み替えなどで毎月の返済額を小さくすることはできます。

最後ですが、売却しようと思ってもなかなか売れないことがあります。日本を出発する日までに、売買契約の締結が出来なければ案件を抱えたま、転勤先に行かないといけません。また、転勤先でも、物件が売れるまではローンを払う必要があります。

海外から日本の不動産を売却するには?

赴任先に出発するまで物件が売れなかったケースや、賃貸をしていたが借主が急に退居してしまいその後なかなか借り手が現れないので、赴任先で売却を考えるケースなど、海外から日本の不動産を売れるのかという疑問があります。

その答えとしては、海外から所有している不動産物件を売却することは可能です。しかし、日本国内で不動産を売却するケースとは違う、いろいろ手続きなどが必要になります。海外から日本国内に所有している不動産物件を売却する方法や注意点を説明していきます。

代理人を立てる

不動産の所有者が売却交渉の度に日本に帰ることは現実的ではないので、代理人を立てる必要があります。まず、ここが重要なポイントになるので、代理人を選任するときの注意点を挙げていきます。

代理人になれる人

基本的に代理人は普通の大人であれば、誰でもなれます。民法102条に「代理人は、行為能力者であることを要しない」とありますから意思能力者といって、「自己の法律行為の結果を弁識するに足りる精神能力」のある人でしたら、誰でも問題ありません。

身近な人であれば、自分の親や兄弟、親戚の叔父・叔母あたりが代理人の候補になります。

しかし、不動産売買には法的な知識が必要で、かなり煩雑な手続きを進めることになります。、書類の作成から契約締結までやれる人物でないと、代理人としての役割は果たせません。それに、仮にそれが出来たとしても、かなり大きな負担をかけることになります。

そこで、やはり専門知識と経験のある不動産業者や司法書士に依頼するのがおすすめです。中でも、司法書士に依頼をすると、司法書士自身が信頼できる不動産業者と一緒に仕事をしてくれますから、安心感は高まります。

手続きの流れ

手続きの流れですが、まず、司法書士に「代理権限委任状」、通称委任状を発行して、対象物件取引に関する権限の全てを委任することが必要です。

日本国内で委任状を発行するときには、印鑑証明と自署・実印押印があればできますが、海外では印鑑証明の取得が出来ません。

その替わりになる、サイン証明書を取得しなくてはいけません。サイン証明書の取得ですが、まず署名欄を空白にした委任状をあらかじめ作っておきます。その委任状を持って、日本国大使館や居住区を管轄している日本国領事館に行って、担当係官の前で自らサインをします。

担当係官がサインを本人のものだと認めると、日本国大使館、日本国領事館名で「そのサインは間違いなく本人のものだ」という証明書を発行してくれます。これがサイン証明書です。

サイン証明書には貼付式と単独式の形式がありますが、貼付式の証明書を用意しておきましょう。委任状だけでしたら単独式でも問題はありませんが、実際の売買契約決済の時には貼付式が必要になるからです。

できたら、事前に署名捺印が必要書類をすべて送付してもらっておいて、委任状のサイン証明書を発行してもらう時に、必要書類に対する証明書も一緒に発行してもらえれば何度も日本国大使館や領事館に行く必要がなくなります。

サイン証明書の他に残留証明書というものも必要です。残留証明書とは、海外に居住する日本人がどこに住んでいるのかを証明してくれるもので、日本国内でいう住民票のようなものです。

残留証明書はパスポートや運転免許証、現地での公共料金の請求書などを合わせて日本国大使館や領事館に持っていくと発行してもらえますから、サイン証明書と一緒に取得すれば良いと思います。

こうして揃えた委任状と残留証明書、署名と拇印を押した必要書類一式を委任した司法書士にEMS(国際スピード郵便)などを使って送れば、後はすべて司法書士がやってくれます。

司法書士の選び方

代理人として司法書士を選任する際のポイントがあります。司法書士でしたら誰でも同じだとは言い切れません。司法書士にも得意、不得意があって、中には登記は苦手だからやりたくないという司法書士もいます。

また、日本国内在住者の登記は慣れているけれど、海外在住者所有の不動産登記はやったことがない、という司法書士もいるので注意が必要です。

ポイントとしてはこういった案件に実績のある司法書士を選ぶことが必要ですから、海外でもネットで情報を得たり、親族や親戚に頼んで探してもらうことも選択肢に入れて、自分の案件に最適な司法書士を選んでください。

賃貸として貸す場合

ここまでは、物件を売却することについて見てきましたが、賃貸をするとどんなことが想定されるのか、引き続き見ていきたいと思います。

賃貸として貸し出す場合のメリットとしては、安定した家賃収入が得られることと、住宅ローンの金利や固定資産税が経費扱いになるので、税金控除の対象になります。

賃貸にもいくつかの方法があって、ひとつは通常の契約による賃貸。もうひとつは、定期借家契約という方法です。他にも、リロケーションという賃貸方法もあります。

それぞれの内容について解説していきます。

通常の賃貸物件として貸す

通常の賃貸物件として貸し出す場合ですが、もうその家に戻るつもりも予定もない、という場合に限った方がいいでしょう。

理由は、貸主の都合で明け渡しをしてもらうことが困難になるからです。もし海外転勤が終了して日本に戻る場合でも、貸主の都合で借主を追い出すことはできません。

通常の賃貸物件として貸してもいい人は、ローン返済期間と金額が残り僅かな人とか、すでにローンを完済しているような人だと良いかもしれません。帰国後、貸し出している物件を担保にして、またローンを組むことで新しい住まいを手に入れる可能性が高くなるからです。

定期借家契約で貸す

定期借家契約という契約方法は、更新なしで一定期間だけ貸し出す方法です。通常5年程度の期間を定めて契約します。

これは、1992年に施行された借地借家法で期限付借家権が創設され、さらに2000年には定期借家権が導入されたことで可能になった契約方法です。

契約期間を過ぎると、ほぼ間違いなく明け渡してもらえますから、帰国後に自分の住まいの心配をしなくても良いという契約内容です。

最近増えているリロケーションとは

リロケーションとは、転勤などで発生する留守宅を短期間に限って賃貸することです。以前は、一部上場をしているような大企業の場合などでは、会社が留守宅を借り上げて別の社員に貸すという方法が取られていたことがあります。

したがって、留守宅が賃貸市場に出回るケースはあまりありませんでした。その理由ですが、任期が終わって戻ってきたときに必ず明け渡してもらえる保証がなかったからです。

しかし、定期付借家権が制定されてからはその心配がなくなったので、リロケーションを大きく取り扱う不動産会社も多くなってきています。

短期ですから、2年とか3年単位の契約が多く、貸主としては安心して貸し出すことが可能になっています。

空き家のままにしておくデメリット

ローンは完済しているから、売却も賃貸物件にもしないで空き家にしておくという選択肢もあります。

空き家は管理をきちんとしておかないと、物件が傷んでしまったり、ゴミの不法投棄の対象になってしまうことがあるので注意が必要です。

最悪の場合は、知らない間にホームレスが入り込んで住みつき、火事を出されてしまうケースもありますし、犯罪の温床になってしまうこともあります。

それに、ゴミの不法投棄の対象になってしまったり、無関係の人が何人も住みついてしまったような場合ですが、自治体によっては「特定空き家」に認定されてしまいます。理由としては、防犯上や衛生上の問題が挙げられています。

特定空き家になってしまうと、固定資産税の特別措置は受けられないので、いきなり税額が最大で6倍になってしまいます。

こうならないように不動産業者や警備会社と契約をして、きちんと管理をしておく必要があるので、その経費だけでもかなりな額になります。こうしてみると、長期間空き家にしておくことは、かなり多くのデメリットがあるといえます。

売却と賃貸どっちがいいか

では、売却をする方法と、リロケーションを含めて賃貸をする方法を比べた場合、どちらが有利なのか、考えてみます。売却のメリット・デメリットは先ほど書いたとおりです。

では、賃貸のメリットはというと、まず定期的な収入があることと、ローンの金利や固定資産税が経費扱いになるため、税金控除の対象になることです。

しかし、ローンが残っている場合ですが、家賃収入で毎月のローン返済ができるのかどうかは物件の内容や状態にもよりますから、保証の限りではありません。

それに家賃収入に関しては、確定申告の対象になります。年1回の確定申告のために帰国することが普通は難しいことが多いので、毎月の管理を不動産会社に依頼しておき、税理士に確定申告をしてもらうのが一般的です。そうなるとさらに経費が掛かります。

また、定期付借家権であるリロケーションを使っているからといって、安心はできません。

例えば任期2年と会社から言われていたので、2年契約のリロケーションにしたけれど、急な人事が発生して1年で帰国することになった、などということもあるからです。

この場合になると、1年間は自分たちも借家に住まなければいけなくなるので、出費が必要になります。そして、他人に貸していたので明け渡し後に、ハウスクリーニングや簡単なリフォームをするケースが多くなります。

こうやって見ていくと、案外賃貸にするメリットよりも、デメリットの方が上回ることになっています。よほど思い入れのある家だった場合などを除くと、売却をしてしまうメリットの方が多いようです。

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