家や土地を個人売買(個人間取引)する際の注意点

家や土地を個人売買(個人間取引)する際の注意点

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不動産売買には、不動産業者に支払う仲介手数料が発生します。仲介手数料は、売主にとっても買主にとっても、けっこう負担は大きなものです。

この仲介手数料を省きたいので、個人売買は出来ないものなのかなと考える人もいます。しかし、実際にそんなことが出来るのかどうか、できるとしたらどのような流れがあって、メリットやデメリットはどんなことがあるのか気になります。

この不動産の個人売買について、分かりやすく解説をしていきます。

不動産は個人売買できるの?

不動産取引を個人の間でできるのかどうかといえば、法的には何の問題もありません。しかし、買主が友人知人や身内どうしであれば何かあっても話し合いで解決できますが、見ず知らずの間柄だと法的・専門的な知識がないと、後々トラブルを抱え込むこともあります。

法的・専門的な知識とは、宅建法・税金・相続に関わる民法・権利問題などが代表的なことですが普通に生活をしている限り、一生の間に何度もかかわることではありませんから、知識や経験がないのが普通です。

中でも買主が銀行ローンを組みたいときなど、必ずといっていいほど審査のために「重要事項説明書」が必要になります。これは普通、住宅建物取引士、通称宅建士の資格を持っている人しか作成できません。

宅建士は不動産業者にたくさん勤務していますから、どうしても不動産業者に頼む必要が生じるように思ってしまいます。

内容は登記簿に記載されている事項で、法令に基づく制限、飲料水(水道か井戸水かなど)、電気・ガスの供給状態、排水施設の整備状況、宅地造成又は建物の工事完成時の形状と構造、契約の解除や金銭の賃貸斡旋など、対象の不動産に係わる重要事項すべてになります。

つまり、重要事項説明書はローンを組む場合銀行に対象の不動産物件の現況をすべて知らせて、きちんとした審査ができるようにするためには、絶対に欠かせない書類です。

銀行はローン対象の不動産の詳細を知らない為、重要事項説明書が必要なのですが、法律で決められたことではありませんから、他の方法でも銀行を納得させることが出来れば問題はありません。司法書士や不動産鑑定士、弁護士などに依頼して不動産調査報告書などを作成してもらえば、重要事項説明書の代わりになります。

その他にも、売主側は売却益が出た場合所得税や住民税が発生しますし、買主側には不動産取得税などが発生します。他にも契約書のことや所有権移転手続きなど様々なことがありますから、個人の間での売買とは言え、司法書士などの仕業に関わる人の存在が必要になる場面が多くあります。

個人売買のメリット

不動産を個人間で売買を成立させた場合のメリットですが、金銭的な面と納得のいく商談ができるという面があります。

金銭的な面でいうと、仲介手数料がかからないことと、個人間取引ですから消費税が発生しないということです。

不動産は設定される売価が高額ですから、仲介手数料も消費税もバカにできない金額になります。例えば3000万円の物件になると、仲介手数料は、

3000万円+(3%+6万円)=96万円

になります。これは最大値ですが、ほとんどの不動産業者はこの数字を提示してきますから、一種の相場ともいえます。そして消費税ですが、

3000万円×8%=240万円

にもなってしまいます。仲介手数料と消費税を合わせると、96万円+240万円=336万円という高額になってしまいます。ちょっとした車が買える金額ですから、これをカットできることは非常に大きな節約になります。

また、個人の間での取引ですから、商談も時間をかけて何度もできます。売主にとっても買主にとっても、お互いに納得のいくまでしっかり話し合うことが出来ますからほぼ希望額での売買が成立しやすくなります。

ただし、設定する売価が適切でなければ買主を納得させることは出来ませんから、あらかじめ相場価格を調べておく必要があります。そのためには、一括査定サイトなどを利用して、数社から相場価格の情報を得ておくことも必要です。

個人売買のデメリット

不動産を個人売買しようとしたときのデメリットですが、一番大きなものとしては瑕疵担保責任が挙げられます。

瑕疵というのは、白アリの発生や土台の腐食、雨漏りや建物の傾き、庭を掘ったら大量のごみが出てきたなど、不動産物件に関する欠陥全般のことをいいます。

もし、建物や土地に瑕疵があることを事前に売主が買主に説明をして、買主が了承していれば問題はありませが、売買物件時に買主が知り得ない隠れた瑕疵があった場合、売主はその瑕疵について責任を持って補修や損害賠償をしなくてはいけません。これを、瑕疵担保責任といいます。

しかし、売主でさえ分からなった瑕疵があった場合など、後から問題になるケースもありますから、要注意です。

レインズに登録できない

それから、もうひとつの問題ですが、友人や知人、親族や近隣の人に売る以外のケースだと、自分で買主を見つけなくてはいけません。

不動産業者でしたら同業者とのつながりや、レインズに登録することで割合に短い期間で買主を見つけることは可能です。

しかし、レインズに売り物件の登録ができるのは、宅建業の資格を持っている不動産業者だけですから、一般個人である個人売買の売主は登録することが出来ません。

このため、買主を見つけるまで相当長期間かかってしまうことは、決して珍しいことではありませんし、買主が見つからないことすらあります。

レインズに登録することが出来ないということは、売主が希望に合う買主を見つけることは、かなり困難なことだと考えておいた方が良いと思います。

個人売買する際の流れと手続き

不動産の個人売買には8段階のステップがあります。中には3や4のように、知人や友人、親戚や近隣の人が売主になる場合にはあまり必要のない物もありますが、買主を自分で探す場合には必要です。

  1. 一括査定サイトなどを使って物件の価格相場を調べておく
  2. 資料(図面など)を揃えておく
  3. 売買価格を決めて広告を出す
  4. 現地確認と問い合わせに対応する
  5. 価格交渉などの商談に対応
  6. 売買契約書などの必要書類を作成
  7. 契約締結と決済
  8. 物件引き渡しとその後のフォロー

このようなステップになります。項目ごとに、内容を説明していきます。

一括査定サイトなどを使って物件の価格相場を調べておく

買主が知り合いや親戚などであっても、適正価格でなければ売買は成立しませんから、必ず物件の相場を調べておく必要があります。

国土交通省が運営している土地総合情報システムなどを利用する方法もありますが、詳しい地番や実際の土地などの状況などが分からないことがネックです。そこで、不動産一括査定サイトなどで、複数の不動産業者に査定を依頼すると実勢価格に近い数字を知ることが出来ます。

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資料(図面など)を揃えておく

売りたい物件の土地や建物などの詳細が分かるような地図や建築図面、築年数が分かるような資料を揃えておきます。

売買価格を決めて広告を出す

複数の見積もりが出たら、その範囲で売価を決めます。不動産売価は、ほぼ100%価格交渉の対象になりますから、あらかじめ値下げ金額分を考慮に入れる必要があります。

売価が決まったら、有料になりますがスーモやアットホーム、ホームズなどの不動産情報サイトに登録をします。

その他の広告としては、新聞の折り込みチラシがあります。デザイン料込みで、一回につき10万円から20万円ぐらいの費用が必要になります。

現地確認と問い合わせに対応する

広告を見て、購入希望者から問い合わせや現地確認という見学の希望が入りますから、すべて自分で対応しなければなりません。

仲介の不動産業者がいない為、信頼度は低いと自覚をしておくことが必要です。その為、瑕疵担保責任のことや、境界確認などについてかなりしつこく聞かれることは覚悟しておく必要がありますし、実際にキッチリ確認すべき事項はしっかり調べておくことが売主の義務です。

価格交渉などの商談に対応

1のところでも書きましたが、不動産の商談には必ず価格交渉という値下げ要求がつきものです。

提示した価格からどの程度まで値引いても良いのか、今の段階で値下げをしなくても別の購入希望者が出てくるのではないかなど、自分で判断する必要があります。商談に入る前に、このようなことに関する決心の条件を決めておきましょう。

売買契約書などの必要書類を作成

不動産売買に必要な書類、売買契約書や履歴事項証明書などの書類を用意します。どの書類にも落ち度があってはいけないので、司法書士に作ってもらうことがベターな選択肢になります。

契約締結と決済

購入者の気持ちが決まったら、用意をした契約書に署名捺印をして契約を締結します。この時に、手付金を受け取ります。手付金の相場ですが、一般的には100万円です。その後、契約書に定めた決済日に、手付金を差し引いた残金を受け取って決済が完了します。

契約締結の時には、司法書士に同席してもらい、すべての手続きに問題がないようにチェエクしてもらいながら進めることが必要です。

物件引き渡しとその後のフォロー

ここも司法書士の力が必要な場面です。所有権移転登記手続きや、残金受け取り確認などの他にも、引き渡し後のフォローである瑕疵担保責任の期間などについての説明など、しっかりやってもらいましょう。

以上が個人売買の流れになります。個人売買をすれば、不動産業者に支払う仲介手数料がいらないので安く済みますが、手続きが面倒であったり、トラブルの危険性もあります。

家や土地を個人売買する際は、メリットとデメリットをしっかり理解して検討しましょう。