築年数が30年、40年、50年の木造の家を売却するには?

築年数が30年、40年、50年の木造の家を売却するには?

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売りたい物件が築年数の古い木造の場合、実際に売れるのか心配ではないでしょうか?

築年数がある程度経つと建物の評価額はゼロになるとか、更地にした方が売りやすいなど、色々な情報があって悩んでいると思います。

どの情報が正確なのか、古い木造建築の家を売るときの注意点について解説します。

築年数が古い家を売却する際の注意点

築年数が古い家を売るときには、いくつかの注意点があります。その1つとして、現行の建築基準法に適合しているのかという問題があります。

現行の建築基準法は昭和25年に施行されました。しかしそれ以前に建てられた木造家屋も、依然として残っています。50年以上前に建てられた建築物ですから、現行の建築基準法には不適合な条件下に建てられている物件で、適合させるには建て替えが必要です。

しかし道路に面している部分の規定で、建て替えが出来ないケースが多くあるので注意が必要です。親から相続した場合、この規定を知らないで売りに出ししまうこともありますから、気をつけてください。

建築基準法の道路に関する規定では、建物に面している道路の幅員が4m以上が必要とされています。4m未満の場所に家を建てている場合は、建て替えの時に建物自体を後退させる義務があり、このような道路条件を2項道路指定といいます。

2項道路指定ですが、戦後都市計画がすでに進んでいた地域には、4mの幅員に達していない道路がたくさんあったので、その条件下で家を建てるための条件緩和策でした。しかし現在では、2項道路指定の義務を果たせないような立地条件だと、建物を後退させないと建て替えができません。

築後50年以上を経過している建物は建て替えが必要なケースが多いので、売るときには、2項道路指定について確認しておく必要があります。

築後30年、40年の物件ですが、2項道路指定になっているケースはほぼないので、問題なく建て替えはできます。そのまま住み続けることが出来る物件も数多くあり、建て替えではなくリフォームをする買主もいます。

築年数10年で建物の価値はゼロになる?

不動産の評価でよくいわれていることのひとつに、築後10年を経過すると建物の評価額はゼロになるということがあります。

これは不動産業界では常識になっていることで、評価の基準として公益財団法人不動産流通推進センターに家の価格査定マニュアルがあって、それに従って評価しています。

そのマニュアルですが、家の築年数と査定評価のポイントは以下のようになっています。

  • 1年13.5ポイント
  • 2年12ポイント
  • 3年10.5ポイント
  • 4年9.0ポイント
  • 10年0ポイント
  • 11年-1.5ポイント
  • 12年-3.0ポイント
  • 13年-4.5ポイント
  • 14年-6.0ポイント
  • 15年-7.5ポイント
  • 16年-9.5 ポイント
  • 17年-11.5ポイント
  • 18年-13.5ポイント
  • 19年-15.5ポイント
  • 20年-17.5ポイント

※21年以降は毎年-2.5ポイントが加算されていきます。

これを見ると、確かに10年で建物の評価はゼロになっています。この数字は、不動産業者が仲介する物件の価格根拠を明示する際の目安となっています。    

不動産業者には、宅建業法第32条第2項に意見の根拠を明示する義務が定められてています。つまり根拠が無い事を言ってはいけないので、目安となる数字が必要となるわけです。

数字を見る限りでは築後10年を経過する前に不動産を売却をしてしまうことが、ひとつの選択肢になる可能性が高いといえます。不動産業者の間では、築後10年が一定のラインになっていて、これを超えると一気に価格が下がってしまうようです。

更地にした方が売却しやすいのか?

では、築後10年以上、中でも30年、40年を経過した物件は更地にして売りに出してしまった方が、高く売れるのではないかという疑問が出てきます。

しかし、必ずしも古い家がマイナスポイントになるばかりだとは限りません。例えば、最寄り駅が急行停車駅で、徒歩3~5分圏内。しかも、メインの通りからは少し離れていて、緑がいっぱいあり抜群の住環境だとしたら、古い家でも需要はあります。

立地が悪くて需要が低い場合は、確かに更地にしてしまった方が売りやすいともいえますが、そこには解体費用と固定資産税の2つの問題があります。この問題について解説していきます。

解体費用はどれくらい?

更地にするためには今ある建物を解体しなくてはいけません。その解体費用はどの程度かかるのかということが、ポイントになります。

延べ床面積37坪2階建ての家屋を解体した時の明細を挙げてみます。解体業者によって差異がありますから、坪単価で工事費用を比較するのは難しいですが、ある程度の参考として見て下さい。

工事内容と費用の明細は以下のとおりです。

  • シート養生:143,500円
  • 建物解体工事:999,000円
  • 土間コンクリート解体工事:40,000円
  • 大谷石塀解体工事:31,500円
  • ブロック2段+大谷石解体:21,000円
  • 浄化槽撤去:50,000円
  • 樹木伐採処分:70,000円
  • 物置解体:20,000円
  • 重機回送費:40,000円
  • 諸経費:50,000円
  • 小計:1,465,000円
  • 消費税:117,200円
  • 合計:1,582,200円

工事費用は消費税込みで、約160万円になっています。この場合の工事項目は標準的で、1坪あたりの工事単価は、約43,200円になっています。

解体工事の金額は建物の大きさもありますが工事の内容と、工事項目によって費用が増えると考えた方がよさそうです。別の解体費用を調べてみると、延床面積32坪の建物の解体費用が110万円という例もありますし、延床面積36坪で約190万円という例もあります。

32坪で110万円ということは1坪あたりの工事単価は約34,400 円で、一方の36坪で190万円ということは1坪当たりの工事単価が約52,800円になっています。この差の理由を調べてみると、高単価の工事明細には廃棄物の処理がきちんと載っていました。

2例の違いの原因は、解体業者の近隣に対する工事の考え方と、工事によって出る廃棄物の処理方法の違いのようです。工事の近隣に対する考え方の根拠には、もちろん隣家が間近にあるなどの環境の問題も金額の差に反映しています。

広告で解体工事の坪単価が、「木造建築2~3万円」などを見ることがありますが、これは単純に建物の解体だけの費用で、その他の付帯費用は含まれていないと考えるた方がよさそうです。

解体工事にかかる日数ですが、だいたい1週間から10日前後を見ておいた方が良さそうです。

更地にする際の注意点

築年数がかなり経っているので建物を取り壊して更地にした方が売りやすい、ということもありますが、果たしてその効果はどうなのでしょうか。

実は、更地にすると固定資産税が何倍にもなってしまうという難点があります。これは、「住宅用地に係る固定資産税特例措置」という制度の恩恵を受けられなくなるためです。つまり、固定資産税がいきなり何倍にもなるのではなく、正確には特例措置が受けられない結果になります。

特例措置の概要ですが、住宅の敷地で200㎡までの小規模住宅用地の場合、固定資産税評価額の1/6が課税標準になり、200㎡を超えて住宅床面積の10倍までの部分については1/3が課税標準になります。

課税標準率は1.4%ですから小規模住宅用地の場合ですと、固定資産税評価額×1/6×1.4%となります。例えば固定資産税評価額が3,000万円の土地を例にすると、

特例措置を受けている場合

3,000万円×1/6×1.4%=7万円

特例措置が無い場合

3,000万円×1.4%=42万円

6倍になってしまいます。買主が決まるまで更地にしておく必要はありませんが、あまり長期間空き家にしてしまうと、「特定空き家」と自治体から定義させてしまい、特例措置の対象から外されてしまうこともあるので、建物を解体するタイミングにも注意が必要です。

最近では、古い家をリノベーションして住みたいという人が増えてきているので、更地にしなくても買主が現れるケースもあります。

買主がリノベーションしたいケースもある

近年、古い家をリノベーションして住みたいという人が、次第に増えてきています。

古い家が人気の理由は、購入費用が安いこと、数多くの自然災害にも耐えて地盤沈下の恐れがほとんどないこと、良質な材料が使われて建てられている、ことなどがあるようです。

古い家独特の今では作ることが難しいような材質や装飾を活かすことで、ヴィンテージやレトロな空間を作り出して、新築では味わうことのできないオリジナリティーの高い住居を作り出せることも、大きな魅力になっているようです。

自分が売ろうとしている物件が、このような条件に合致するようでしたら、不動産業者と相談をして購入希望者にアピールする手段を考えると、案外高く売れる可能性があります。

なかなか売れない家を売却するには?

古い家を売りに出したけれども、1ヶ月経っても2ヶ月経っても売れないというケースがあります。

しかし、これを放置しておいても良いことはありません。物件売買でこのようなことになるときには、問い合わせ自体が無いとか内覧には来るけれど、成約には至らないという現象があります。では、なぜこのような現象が起きるのかということの原因について考えていきます。

まず、問い合わせ自体が入らない要因ですが、売り出し価格が高すぎることがあります。同じような物件で、市場価格を調べてみたら設定した価格が相場よりも高いとこのような現象が起きやすいです。

次にあることが、物件情報が上手く買い手に伝わっていない可能性です。

これはネット広告や折り込みチラシの訴求力不足が考えられます。考えられる原因としては、不動産業者が売主と買主の両方から仲介料を取ろうと思っている両手仲介業者が考えられます。広告の訴求力不足は不動産業者がわざとやっている可能性があるので注意が必要です。

このような場合には、媒介契約をしている業者を変えてみることが必要になります。2ヶ月待っても売れる気配がなければ、業者を変えてみることを考えても良いと思います

専任媒介の契約期間は3ヶ月ですから、時間的な余裕があれば3ヶ月待てば契約更新をしないでそのまま別の業者にすることができます。

しかし、家の売却は売り出してから3ヶ月が勝負と言われているので、3ヶ月待たずに契約を解除することも考えた方がいいかも知れません。ただし、契約を解除する際は、違約金がかかるのか、かからないのか確認しておく必要があります。

契約書の内容に「途中解約の場合は違約金並びに宣伝広告費の実費を……」などと明記してあれば仕方がありませんが、書いてなければ違約金がかからないケースもあります。まずは契約書をしっかりチェックしてみましょう。

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売却を成功させるためには、注意すべきことやポイントがいくつかありますが、やはり一番重要なのは業者選びです。

売り主がいくら時間をかけて下調べをしたり、汗水たらして部屋の掃除や内覧準備などに力を入れても、仲介業者が買主を連れてきてくれなければ話になりません。

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